はじめに
こんにちは。クラウドセントリック株式会社の吉川です。
普段は、生成AI活用基盤のSREチームに所属し、Datadogを用いた監視・オブザーバビリティの改善や運用改善に携わっています。
今回、KubeCon + CloudNativeCon Japan 2026に参加する機会を得ました。
本記事では、SREやPlatform Engineeringの観点から、Cloud Native技術やOSSエコシステムの最新動向、印象に残ったセッション、今後の業務や学習に活かせそうだと感じた内容を紹介します。
今回参加した目的
Cloud Native技術やOSSエコシステムが実際の現場でどのように活用されているのかを知り、今後の業務や学習に活かせる知見を得ることを目的に参加しました。
特に、以下の4つの観点を意識してセッションや展示を回りました。
- KubernetesをはじめとするCloud Native技術の最新動向
- CNCFプロジェクトやOSSエコシステムの活用事例
- Platform EngineeringやSREの実践事例
- AI時代におけるCloud Native技術の活用方法や今後のトレンド
KubeConとは
KubeCon + CloudNativeConは、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)が主催する、Cloud Native技術に関する世界最大級のカンファレンスです。
Kubernetesをはじめ、Platform Engineering、Observability、Security、AI、GitOpsなど、Cloud Nativeを支えるさまざまなOSSプロジェクトや最新事例について学ぶことができます。
KubeCon + CloudNativeCon Japan 2026 の構成
KubeConは3日間にわたり開催され、それぞれ異なるプログラムが実施されました。
| 日程 | 内容 |
| 7/28 (Tue) | CNCF Hosted Co-located Events(関連イベント・コミュニティイベント) |
| 7/29 (Wed) | Keynote、Breakout Sessions、Solutions Showcase、Welcome Reception |
| 7/30 (Thu) | Keynote、Breakout Sessions、Solutions Showcase |
今回は3日間参加予定で、本記事執筆時点では1日目・2日目まで参加しています。
1日目は関連イベント(CNCF Hosted Co-located Events)である「KeycloakCon Japan」「ArgoCon Japan」に参加しました。
2日目は、KeynoteやBreakout Sessions、Solutions Showcaseを中心に参加し、Cloud Native技術の最新動向や企業・コミュニティの取り組みについて学びました。
本記事では、ここまでに参加した内容を中心に紹介します。
参考リンク
- KubeCon + CloudNativeCon Japan 2026 公式サイト
- https://events.linuxfoundation.org/kubecon-cloudnativecon-japan/
Day1:Co-located Events
ArgoCon Japan
Argoプロジェクトの全体像
ArgoConは、CNCFが主催するArgoプロジェクトに特化したカンファレンスです。Argoプロジェクトは、GitOpsを実現するArgo CD、KubernetesネイティブなワークフローエンジンであるArgo Workflows、段階的リリースを実現するArgo Rollouts、イベント駆動アーキテクチャを実現するArgo Eventsの4つのプロジェクトで構成されています。
ArgoConでは、これら4つのプロジェクトに関する最新機能や活用事例、ロードマップ、コミュニティ活動などが共有され、開発者や利用者、メンテナー同士が知識を共有し交流する場となっています。

OSSコミュニティとの関わり方
ArgoConに参加するまでは、ArgoといえばGitOpsを実現するArgo CDくらいしか知らず、Argoプロジェクト全体についてはほとんど理解していませんでした。
Argoプロジェクトでは、Argo WorkflowsやArgo Rollouts、Argo Eventsの4つで構成されており、それぞれがGitOps、ワークフロー、段階的リリース、イベント駆動など異なる役割を担っていることが紹介されていました。
また、会場ではArgo CDやArgo Workflowsの利用者が多く、セッションやコミュニティも活発に行われていました。
OSSへの貢献はコード実装だけではなく、ドキュメントの改善や翻訳、バグ報告、Pull Requestのレビュー、記事執筆や登壇など、さまざまな形が紹介されていました。利用者もコミュニティの一員として参加できることが紹介されていました。
KeycloakCon Japan
AI時代のIdentity基盤「Keycloak」
KeycloakCon Japanは、CNCF共催イベントとして開催された、OSSのIAM(Identity and Access Management)であるKeycloakに特化したカンファレンスです。Keycloakの開発者やメンテナー、利用者が集まり、最新機能やロードマップ、企業での導入事例、運用ノウハウなどが共有されるほか、コミュニティメンバー同士が技術交流を行う場となっています。
今回のセッションでは、認証・認可の基礎から最新機能、大規模環境での運用、KubernetesやAIエージェントとの連携まで幅広いテーマが取り上げられていました。
エンタープライズにおける活用事例
Keycloakは、人だけでなくAPI、Kubernetesワークロード、AIエージェントまでを対象とした認証・認可基盤として紹介されていました。セッションを通して、Keycloakは単なるログイン機能ではなく、人間のログインだけでなくAPI、Kubernetes上のワークロード、AIエージェントまで含めた認証・認可を含めた認証・認可基盤として活用されていました。
また、IdP事例やAIエージェント向けの認証・認可、大規模環境での署名鍵ローテーションなど、実際の運用事例も紹介されており、企業システムで幅広く活用されていました。
認証・認可をアプリケーションごとに実装するのではなく、Cloud Native環境ではKeycloakのようなOSSを活用し、KubernetesやAPI、AIエージェントなど複数のシステムと連携し、統一的なアイデンティティ管理基盤として活用される事例が紹介されていました。
Day2:KubeCon + CloudNativeCon Japan
基調講演
概要
基調講演では、CNCFの最新動向やコミュニティの成長、AI時代におけるCloud Native技術の役割について紹介されていました。
特にAIワークロードの増加を背景に、Kubernetesが従来のコンテナオーケストレーションだけではなく、AI推論基盤としても重要な役割を担い始めていること、
またOpenTelemetryやKubeflowなどのプロジェクトの成長や、AI向けOSSであるllm-dの新しいエコシステムの広がり、AIプラットフォームの構築事例などが紹介されていました。

Kubernetesの次なる進化:AIワークロード向けGPU中心のインフラストラクチャ
基調講演では、AIワークロードの中心が学習(AI Training)から推論(AI Inference)へ移りつつあることが紹介されていました。
学習済みのAIモデルを実際のサービスとして提供するためには、推論処理を安定的かつ効率的に実行する基盤が重要であり、その基盤としてKubernetesをはじめとするCloud Native技術が活用されていることが説明されていました。
また、llm-dなど、Kubernetes上でのLLM推論を効率的に運用するためのOSSも紹介されていました。GPUの効率的な利用やKVキャッシュを考慮したルーティング、推論ワークロードの制御など、AI推論に特化した仕組みを提供することで、GPUリソースを効率的に利用しながら推論性能を向上させるアプローチが紹介されていました。
さらに、AIワークロードの拡大に伴い、GPUの効率的な利用や大規模な推論ワークロードの管理など、AI時代に合わせたKubernetesの役割も広がりも示されていました。
印象に残ったセッション
165日から30分へ:プラットフォームエンジニアリングで企業内のサイロを打破する
JALデジタル株式会社では、アプリケーションチームとインフラチームを統合したLUX Platform Engineering Team(JALデジタル株式会社の社内プラットフォームチーム)を結成し、Azure、Kubernetes、Keycloak、Backstage、Argo CDなどを活用したセルフサービス型のプラットフォームを構築していました。
特に印象が残ったのは、「オープンな議論」「誠実さ」「振り返り」を重視したアジャイルな開発文化が紹介されていました。大規模な変更を一度に進めるのではなく、小さな改善を積み重ねながら利用者を増やしていくアプローチが採用されていました。また、Platform Engineeringは単に基盤を構築するだけではなく、開発者が自然と利用したくなるような基盤を提供することの重要性が説明されていました。
初めてのKubernetes貢献:ドキュメントのローカライズ実践ガイド
Kubernetes公式ドキュメントのローカライゼーションへの貢献方法が紹介されていました。
GitHubを利用した翻訳・レビューのワークフローや、SIG Docsと連携したコミュニティでの貢献方法について、演説を交えながら説明が行われていました。
また、AI翻訳が進歩する中でもネイティブ言語によるドキュメントの重要性や、OSSへの貢献はコードだけではなく、翻訳やレビューなどさまざまな形があることが紹介されていました。
セッションで使用されたハンズオン教材も公開されており、自宅でもローカライゼーションの流れを体験できるようになっていました。
モデルサービングから分散推論へ:llm-dはKubernetes上でAIプラットフォームをどのように進化させるか
Kubernetes上でLLM推論を効率的に運用するためのリファレンスアーキテクチャが紹介されていました。
llm-dによる推論リクエストのルーティングやKVキャッシュ管理、KAITOによるモデルのデプロイやGPUリソース管理、オートスケーリングなど、AI推論基盤を構成するOSSについて説明がされていました。
また、llm-dとKAITOを組み合わせた構成により、Kubernetes上でLLM推論ワークロードを効率的に運用するアプローチが紹介されていました。
おわりに
初めてKubeCon + CloudNativeConに参加し、海外からの参加者も多く、会場では英語でのコミュニケーションが活発に行われていました。
セッションだけではなく、スポンサー展示やコミュニティブースでも参加者同士の交流が見られ、Cloud Nativeコミュニティのグローバルな規模を感じられるイベントでした。
DAY1・DAY2では、AI推論基盤やPlatform Engineering、認証・認可など幅広いテーマのセッションに参加し、Cloud Nativeな技術がさまざまな分野で活用されていることが紹介されていました。また、セッションの合間にはソリューションショーケースやスポンサー展示も見学し、Cloud Native技術に関するさまざまな製品やサービスが展示されていました。
Day3では、引き続き興味をもったセッションを中心に回るとともに、ソリューションショーケースやスポンサー展示も見学し、Cloud Native技術やOSSの最新動向について情報収集を行いたいと考えています。
※ この記事に記載されている会社名、製品名、サービス名、及びロゴ等はそれぞれの会社あるいは団体の商標又は登録商標です。
#KubeCon
#CloudNativeCon
#ArgoCon
#Kubernetes
