はじめに
こんにちは。クラウドセントリック株式会社の水田です。2025年6月に入社して、早いもので8ヶ月が経ちました。
業務でAurora PostgreSQLのエラー監視を担当する中で、CloudWatchのメトリクスフィルターを使ってERRORログだけを抽出し、メール通知を設定していました。しかし、運用を続けるうちに1日数十通もの通知が届くようになり、いわゆる「アラート疲れ」の状態に陥っていました。アラームを無効化する以外に何か良い方法はないかと調べていたところ、今回ご紹介する「ミュートルール」に出会い、本記事を執筆しました。
本記事では、2026年2月のAWSアップデートで追加された「CloudWatch Alarm Mute Rules(アラームミュートルール)」について、機能の概要から実際の使いどころまでをご紹介します。
要点
- スケジュール設定でアラーム通知を自動ミュートでき、LambdaやスクリプトによるDisableAlarmActionsの自前実装が不要
- ミュート中もアラーム状態は記録され続け、ミュート解除後も同じ状態が続いていれば抑制されていたアクションが自動的にトリガーされる仕組み
- 1ルールで最大100アラームを対象にでき、リージョンあたり2,000ルールまでコンソールの「ミュートルール」タブから一元管理可能
対象読者
- CloudWatch Alarm Mute Rulesを試してみたい人
必要な前提知識
- CloudWatch Alarm Mute Rulesの概要、使い方
- CloudWatchのメトリクスフィルターの概要、使い方
CloudWatchアラームミュートルールとは
CloudWatch Alarm Mute Rules(アラームミュートルール)とは、指定した時間帯にCloudWatchアラームの通知やアクションを自動でミュートできる機能です。メンテナンス作業やデプロイ中など、意図的にアラームを抑制したい場面でスケジュールを事前に設定しておくことで、不要な通知を防ぎ運用者のアラート疲れを解消できます。ミュート中もアラームの状態監視は継続されるため、モニタリングの視認性を損なうことなく運用できます。
試してみた
<前提の構成>

<アップデートで気になった点>
以下公式ドキュメント(アラームに対するミュートルールの影響)の記載が気になったため、3点の検証シナリオを以下実施。
ミュート期間が終了した後、対象のアラームがアラーム状態(OK/ALARM/INSUFFICIENT_DATA)のままである場合、CloudWatch は期間内にミュートされていたアラームアクションを自動的に再トリガーします。これにより、計画されたミュート期間の終了後も、継続中の問題に対するアラームアクションが実行され、監視システムの整合性が維持されます。
<検証シナリオ>
(1)ミュートルールをアクティブにした状態でAurora PostgreSQLに意図的にSyntax Errorなどを発生させ、アラームがALARM状態になってもメール通知が来ないことを確認
(2)ミュートルールの期限が切れた後もアラームがALARM状態のままであれば、抑制されていたメール通知が自動的に届くことを確認
(3)比較として、ミュートルール期限切れ前にアラームがOK状態に戻った場合はメール通知が来ないことも確認
<(1)の検証>
【設定】
①CloudWatchのアラームにある「ミュートルール-新規」タブをクリックし、「アラームミュートルールを作成」をクリックする。

②以下パラメータを入力および選択して「アラームミュートルールを作成」をクリックする。

③作成したミュートルールが「アクティブ」になっていることを確認。

【動作検証】
④Auroraから接続とセキュリティタブにある「クラウドシェル」を起動し、存在しないコマンド(文法エラー)を実行。
SELECT * FROM non_existent_table_12345;

⑤該当のCloudWatchアラームが「アラーム状態」になっていることを確認し、メールの受信BOXにもメール通知がいかないことを確認。


<(2)の検証>
【設定】
①期間を3分で設定。

【動作検証】
②Auroraから接続とセキュリティタブにある「クラウドシェル」を起動し、存在しないコマンド(文法エラー)を実行。
SELECT * FROM non_existent_table_12345;

③該当のCloudWatchアラームが「アラーム状態」になっていることを確認。

④ミュートルールの期限が切れた後もアラームがALARM状態のままであれば、抑制されていたメール通知が以下のように自動的に届く。


<(3)の検証>
【設定】
①期間を25分で設定。

【動作検証】
②Auroraから接続とセキュリティタブにある「クラウドシェル」を起動し、存在しないコマンド(文法エラー)を実行。
SELECT * FROM non_existent_table_12345;

③該当のCloudWatchアラームが「アラーム状態」になっていることを確認。

④ミュートルール期限切れ前にアラームがOK状態にするため、以下のコマンドでステータスを「OK」に変更。
aws cloudwatch set-alarm-state –alarm-name mizuta-test-aurora-error –state-value OK –state-reason “手動でOK状態に変更”

⑤ミュートルール期限切れ前にアラームがOK状態となっているため、メール通知が来ないことを確認。


まとめ
現職でAurora PostgreSQLの監視にCloudWatchメトリクスフィルターを活用し、ERRORログが検出された際にアラーム通知を送る仕組みを構築しています。しかし、一度障害が発生すると通知が大量に届くたびに手動で無効化・再有効化を繰り返しており、手作業の多さに課題を感じていました。ミュートルールがあれば、以下のような場面で役立ってくれそうです。
- 開発・テスト環境で意図的にエラーを発生させる作業中、不要な通知を一時的に抑制したい場面
- 定期メンテナンスやデプロイ作業中に、想定内のエラー通知をスケジュールに合わせて自動でミュートしたい場面
- 障害調査中に同じアラームの繰り返し通知を抑えつつ、調査に集中したい場面。
CloudWatch Alarm Mute Rulesの機能は、アラート疲れや手作業による運用負荷を解消してくれる待望の機能です。
メンテナンスや開発作業中の不要な通知に悩んでいる方は、ぜひ活用を検討してみてください。