はじめに
こんにちは。かめのひと歩きです!ラスベガスで開催中の AWS re:Inventに参加中。
AWS re:Invent に参加し、数多くのセッションや展示を巡る中で、特に印象に残ったのが Sports Forum(スポーツフォーラム) でした。
スポーツとクラウド、AI、データ分析がここまで融合しているのか、と驚かされる体験が多く、技術者としても、スポーツファンとしても非常に刺激的な空間でした。
本記事では、Sports Forum の全体像と、現地で体験した展示、そして AWS × NBA のセッション参加レポ をまとめてお届けします。
1.スポーツフォーラムとは?

Sports Forum は、AWS re:Invent の中でも「スポーツ × テクノロジー × エンタメ」 をテーマにした特別エリアです。
ここでは、
ファン体験の進化(観戦・配信・インタラクション)
選手やチームのパフォーマンス分析
放送・配信の裏側を支えるクラウド基盤
AI・データ分析の実運用事例
といった内容を、展示・体験・セッションを通して一気に体感できる空間になっていました。
会場には、NBA、F1、サッカー、ホッケー、ゴルフなど、さまざまな競技の事例が並び、「スポーツの現場では、すでにAIとクラウドが“当たり前”に使われている」という空気感が強く伝わってきました。
2.AWS × Toronto Raptors(MLSE)の「デジタル・シューティング・ラボ」体験レポ
AWS × Toronto Raptors(MLSE)のデジタル・シューティング・ラボを実際に体験してきました!このブースでは、複数の高精度カメラとAIを使って、バスケットボールのシュートフォームをリアルタイムで解析する仕組みが紹介されていました。
取得しているデータは、
シュート時のフォーム
ボールの軌道
角度やリリースタイミング
など、かなり細かいところまで及んでおり、「どこを少し調整すれば成功率が上がるのか」「今のフォームの何が課題なのか」といったことを、その場ですぐにフィードバックされるそうです。
☟ 実際にシュートしているところを撮影し、分析してもらいました。筋肉も使い方なども詳しく出ていて驚きです。
説明の中で印象的だったのが、“もう一人の専属シューティングコーチが、横についているような存在”という表現でした。感覚ではなく、すべてデータとAIに基づいて成長をサポートするという点が、まさに現代のスポーツだと感じました。
しかも、この仕組みはすべて AWS のクラウド基盤の上で稼働しており、
リアルタイム解析
データの蓄積
選手ごとの成長履歴の管理
といったことが、日常のトレーニングの中で当たり前のように行われているとのことでした。
この展示を通して、「スポーツ × AI」はもはや実験ではなく、“完全に実運用のフェーズ”に入っているということを強く実感しました。
☟ 最後には、自分の顔をしたイラストのカードがもらえました。イラストの精度も高い…!
3.AWS × NBA「AWS and the NBA Are Changing the Game」 セッションレポ

続いて参加したのが、「AWS and the NBA Are Changing the Game」 というセッションです。このセッションで最初に強く印象に残ったのは、「テクノロジーのために技術を使っているのではない。すべてはファン体験のため」という考え方でした。
NBA と AWS の取り組みは、最新技術を使うこと自体が目的ではなく、
試合をより深く理解できるようにする
ファンが、より楽しく観戦できるようにする
選手やチームの成長を、より正確に支える
という “体験価値の向上”が出発点 になっているそうです。
Prime Videoの放送体験は、すでに次元が違っていた
実際の放送の進化として紹介されていたのが、Prime Video向けのNBA中継です。
最大4試合同時に見られるマルチビュー機能
ただ並べるのではなく、1試合をメイン表示にして、他をサブで確認できるUI
ベット情報をリアルタイムで追跡できる仕組み
試合を見ながら、そのまま関連商品の購入までできる導線
単なる「高画質配信」ではなく、
試合・データ・購買・分析がすべて1つの体験としてつながっている、という印象でした。
「Gravity(重力)」という新しい指標
特に印象深かったのが 「Gravity(重力)」 という考え方です。
これは、その選手がコートにいるだけで、どれだけ相手ディフェンスを引きつけているかを数値化した指標で、レブロン・ジェームズやステフィン・カリーのようなスター選手が、どれほど試合に影響を与えているかを 感覚ではなくデータで可視化 しています。
これらのデータは、リアルタイムでAI解析され、そのまま放送にも反映されているとのことで、バスケットボール観戦そのものが、「なんとなくすごい」から「なぜこのプレーが生まれたのかを理解する」という体験へ進化していることを実感しました。
技術とプライバシー

質疑応答で特に印象に残ったのが、プライバシーとセキュリティに対する考え方でした。質問者への回答として、「私たちにとってお客様のプライバシーは最も大切なもの」「ファンに近いデータを扱うからこそ、プライバシーは“機能”ではなく“前提条件”だ」と語っていました。
NBAでは、試合映像や選手の動き、視聴データなど非常にセンシティブな情報を日常的に扱っています。そのため、AIや分析技術を進化させるのと同時に、セキュリティやデータ保護にも10年以上取り組んできたそうです。「強い基礎がなければ、その上にどれだけ優れたAIを載せても意味がない」という言葉からも、“まず守る設計があってこその最先端技術” という考え方が強く伝わってきました。
私自身、普段はどうしてもAIや分析の“すごさ”に目が向きがちですが、この話を聞いて、攻めの技術を支えるのは、地味に見える“守りの設計”なのだと、あらためて実感しました。
4.NBA 試合観戦「Heat vs Mavericks」体験+交流会

「AWS and the NBA Are Changing the Game」セッションの直後、そのまま Sport Forum 内で 「Heat vs Mavericks」戦の観戦イベントに参加しました。AIやデータ活用の話を聞いた直後に試合を見る流れだったため、“さっきの技術の話が、いま目の前で動いている” という感覚がとても印象に残りました。会場では参加者同士がプレーを見ながら自然に会話しており、学びと体験がその場でつながる空気感が心地よかったです。

また、同じ Sports Forum 内で AWS × NBA のプライベートレセプション(交流会) も行われていました。セッションや試合の感想をその場で語り合える場になっていて、「見る・学ぶ・話す」が一続きになる時間だったのが印象的でした。
4.まとめ
Sports Forum では、展示で「選手の成長」を体感し、セッションで「NBAとAWSの取り組み」を学び、そして実際の試合と交流会で「その世界が現実に動いている瞬間」を体験することができました。スポーツはもはや、感覚や根性だけの世界ではなく、クラウドとAIによって“理解し、進化させていくもの”へと確実に変わっている――そんなことを強く実感する一日でした。
ITの知識がなくても純粋にワクワクでき、技術を知っていればその裏側まで想像できる。
Sports Forum は、そんな “立場を越えて楽しめる最前線の空間” だったと思います。
スポーツとテクノロジーがここまで自然に結びつく未来が、もうすでに始まっているのだと、現地で実感することができました。

